■センサー化が進むFA用画像処理装置
FA現場にセンサー化した画像処理装置が進出してきた。「センサー化」した
という意味は、これまでの「コンピュータ」のカテゴリーから抜けだし、工業
用途で一般的に使われているセンサーの仲間入りをしたためである。センサー
というからには、以下の2つの条件が必要である。
@信頼性が高いこと→良品率フォーナイン(99.99%)以上であること。
A処理速度が速いこと→0.1秒以下(撮像時間含む)
現在5〜6社から販売されているFA用画像処理装置の中で、今回M社製画像
処理装置が、十分にセンサーとしての条件を満足することを検証したので報告
する。
<典型的なFA用画像処理の例>
上図は幅5.0×長さ7.0mmのある電子部品の方向選別を画像処理で行っ
たものである。電子部品上のマークが画面の左下コーナーにあれば良品、それ
以外は不良品である。本画像処理ステーションには前工程である選別部により、
マークは左下コーナーか右上コーナーにしか存在しないようになっている。
このような選別は画像処理の基本中の基本である@エッジ検出による位置決め、
A2値化による面積カウントによる判別、という2つの処理を組み合わせる事
により簡単に実行できる。
[処理仕様]
●イメージセンサー M100(M社製)
●画像メモリ H512×V480dot
●撮像条件 移動中にシャッター(1/1000sec)撮影
●処理速度 約0.1秒(撮像時間含む)
●位置決め ±2mm以内(X,Y)、±10度以内(θ)
●処理概要 @位置補正用ウィンドウ1と2でワーク位置決め。
(エッジの大きさのピークで識別)
A処理ウィンドウ1内の黒dot数が規定値1以上で、
処理ウィンドウ2内の黒dot数が規定値2未満で
あれば良品。それ以外を不良品。
(単純2値化による面積カウント)
<立ちはだかる良品率フォーナイン(99.99%)の壁>
FA用途に使うセンサーの目安は良品率99.99%である。
上図はこのイメージセンサーで良品1000個、不良品1000個を選別し
た時の各処理ウィンドウW1、W2内の黒dot数をヒストグラムで表した
ものである。
図中の黄色の半楕円は4σの範囲であるが、この範囲をもって十分に良品と
不良品を仕切れることがわかる。この半楕円内に良品が入る確率は、99.
99%以上である。
また本システムでは、フォーカスを±5mm、光量を−30%変動させたが、
良品を保証する4σの範囲である半楕円の中心位置と大きさは若干変化する
程度で、不良品との識別には全く支障がなかった。
→これらの実験結果より、本画像処理システムはロバスト性に優れ、良品率
99.99%を保証できるFA用センサーである事が証明された。
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