■ムーアの法則と画像処理

  ムーアの法則というのがある。これは半導体の集積度が1年半で2倍になると   いう法則で、インテル(米Intel社)の創設者の一人、ムーア(G.Moore)が   1960年代に予測した。   ここで半導体をCPUに置き換えると、集積度が2倍になると処理時間が1/2   になると考えてよいから、1年半で処理時間が半分になることになる。   さて上図は、1994年にコンパックのPentium(60MHz)パソコンで1MB(1024×   1024)の画像を2値化した時から、本年にPentiumV(1GHz)パソコンで1MBの   画像を2値化した時までの、処理時間と計測年、使用CPUについてのグラフで   ある(CPUのリリース時期と計測年には1年程度のズレがある場合がある)。   1994年から2001年までの7年間に、2値化の速度は27倍になった。   ムーアの法則では7年で25倍になるはずなので、ムーアの法則は「画像処理」   の処理時間にもピタリとあてはまっているといえよう。   なお上の測定では、WindowsNT+C32を用いた。   (A1)ムーアは予言者ですか?   (Q1)研究者であり、経営者です。本年に退任するまで、インテルの名誉会長      でした。また半導体の発明者として知られるショックレー(ノーベル賞      受賞者)のかつての弟子でもありました。      ムーアは常にインテルの経営のトップにあったために、ムーアの法則を      自ら実現すべく、努力してきたとも言えます。とは言え、やはり先見の      明があったと言わざるを得ません。   (A2)今後もムーアの法則は成立するのですか?   (Q2)確かに現在の紫外線による微細加工技術には限界が見え始めてきました。      しかし、つい最近の情報によれば、現在の1/8の波長の紫外線を使う微細      加工技術の実用化にメドがついたとのことで、今後十年間はムーアの法      則は成立する見込みです。   (A3)そんなにCPUが速くなっても、何に使うのですか?   (Q3)現在でもワープロや表計算でしかパソコンを使わないユーザーにとって、      1GHzというCPU周波数はもてあましているのが現状である。ムーアの法則      が今後十年間も成立するとすれば、今よりもさらに100倍速くなるわ      けで、いったい何に使うのですかという質問はなるほどとも思う。      まず第一の用途として考えられるのは、3DCGである。現在の最強のパソコ      ンをもってしても、高解像度のレンダリングを行おうとすると数十分から      数時間を要するからである。      また第二には、移動物体のリアルタイム認識などにも活躍が期待される。      それから、10年後にはパソコンではなく、携帯電話がコンピュータの主      流になっていることも考えられ、この場合、外国人との会話をリアルタイ      ムに翻訳するサービスが始まっているのかもしれない。   (A4)今後もインテルの優位が続きますか?   (Q4)これまでインテルが優位に立ってきたのは、CPUの速度アップが望まれて      きた時代背景があったためである。インテルは時代の要請に応え、そし      て不動の地位を確立した。確かに今後もCPUの速度アップは望まれるが、      大多数のユーザーにとっては無関心時となる。従って今後の十年間は      速度だけでなく、コストや消費電力、グラフィック処理能力なども重要      視されるであろう。      そういう意味で今後の十年間に目を離せないのが、AMD、トランスメタ社、      モトローラ社、nVIDIA社などのメーカーである。   



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