■ベクトル相関法
画像処理手法の中で、最もよく使われる手法の一つがパターンマッチン
グである。パターンマッチングを分類すると、およそ以下のようになる。
1.残差マッチング マスターパターンをターゲットパターンに対し位置
を上下左右に移動させながら、重ね合わせの残差が
最小になる点を求める。
2.正規化相関法 マスターパターンとターゲットパターンの正規化相
関値が最も大きくなる点を求める。残差マッチング
に比べ膨大な演算時間を要するが、階層化による高
速化によって実時間での処理が可能になっている。
3.位相限定相関 マスターパターンとターゲットパターンの両者をフ
ーリエ変換し、フーリエ変換面で位相限定処理を行
い、マッチング点を算出するもの。
4.幾何マッチング ここ数年で流行し始めた、ターゲットパターンの回
転やリサイズの影響を受けないマッチング手法。エ
ッジ点列を用いる。
5.ベクトル相関 エッジ点列を用いたマッチング手法。重なりや隠れ
の影響を受けない。
6.一般化ハフ変換 直線検出のハフ変換を一般に拡張したもので、主に
幾何学図形を対象とする。エッジ点列を用いたマッ
チング手法で、重なりや隠れ、回転、リサイズの影
響を受けない。
本ページで扱うベクトル相関を他の手法と比べると、
●長所 1)重なりや隠れの影響を受けない。
2)高速処理が可能である。
●短所 1)回転、リサイズに対応していない。
2)ピクセル単位の出力である。
よって用途としては、プリント基板の位置決めマークの検出等、工業製
品のマーク検出に最適な手法である。マーク検出に関するベクトル相関
特許は、2001年11月になって成立した(「プリント基板などのマ
ーク位置検出方法」)。
◆処理手順
手順1 ターゲット画像(図1)に対して、エッジ検出処理を行う
(図2)。
図1 ターゲット画像 図2 エッジ画像
手順2 マスター画像のエッジ点列(図3)の中心点(たとえば重心)
に対して点対象な図形(ベクトル)を作成し、
手順3 エッジ画像(図2)のエッジ点列に対して手順2で作られた
図形ベクトルを重ね合わせる(図4)。最も重なった点が求
める最大マッチング点である。
なお重ね合わせはパラメータ平面への投票(累積)で行う。
図3 マスター画像 図4 パラメータ平面
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